これまでの10年、これからの10年

本記事は、川崎フロンターレ Advent Calendar 2016 - Adventar の 11 日目として寄稿するものです。

1. はじめに
「これまでの10年、これからの10年」という題で、当初は私が考えるフロンターレのこれまでの10年とこれからの10年の話を書こうかと思ってましたが、さすがにそれは大風呂敷過ぎました(苦笑)ざっくりな話は飲み会ででもお話ししますので、聞きたい方はそこで(笑)

 

さて、そういうことで、今回は当初の記事構想の中でも一番の核になるアカデミーの話をできれば、と思います。

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2. これまでの10年
アカデミーの歴史を調べてみると、この10年は非常にクラブも力を入れ、重要な10年だったことがわかります。

 

 

例えば、U-18 のカテゴリーを見てみると、10年前は神奈川県リーグで、しかも2007~2009年は、3年連続でプリンスリーグへの参入決定戦で敗れてました。
が、2010年にプリンスリーグ関東に昇格すると、その後は安定してプリンスリーグ関東のカテゴリーで戦っています。
そして、2015年、2016年は、プリンスリーグプレミアの参入決定戦への出場権まであと一歩まで近づいています。

間違いなくアカデミーの力は上がってきています。

 

そして、これは私も今回の記事のために調べて初めて気づいたのですが、2005年~2016年の新体制発表会見で、強化部長はほぼ毎年、アカデミー、育成について言及をしています。(2007年のみ言及なし。)

いくつか新体制発表会見時の育成、アカデミーに関する発言を引用してみたいと思います。

2005 年
「3つ目は、組織の変更を致しました。・・・強化部の中にU-18を組み入れる、この変更の趣旨と言いますと、U-18、ユースのチームとトップチームのジョイントをもっともっと高めなければならない・・・トップにつながってくる選手が増えてくるだろうという趣旨での組織変更です。それからトップチームへのいい優秀な選手の安定供給。我々が、J1に上がって2〜3年、土台を作る中ではこのような対応が必要だろうと、また、ユースから昇格するということは、当然川崎市、神奈川県を中心とするトッププロを育てるという施策も検討の中に入っています。」


2009 年
「育成の強化の基本は、やはりトップチームで活躍できる選手。U-12、みなさんもご存知であろうと思われますが、ジュニアチームを始めて3年目。ダノンカップの日本代表になり、それから、全日本少年大会でベスト4になっています。・・・育成でも、若い選手を育てて、トップチームで活躍できる選手を供給したい。・・・クラブが継続して安定した結果を保つ、上昇クラブになるには、必須の条件であると考えております。そういうことでさらに、育成にパワーを結集しながら結果を残していきたいというふうに思います。」

2013 年
フロンターレはアカデミーのレベルアップに向けていろいろ取り組んできております。・・・今後はですね、アカデミーからトップまで一貫した指導を目指し、指導者、選手の深い交流をしながら若手の育成に努めてまいりたいという風に思っております。」

2016 年
今後もジュニアからトップまで一貫した指導を念頭に置いて、しっかりと選手育成に取り組んでトップにつなげられるような選手を1人でも多く育てていきたいと思います。」

 

たくさん、引用してしまいましたが、2005年からの目標として変わらないのは、ユースからトップへ一貫した指導による選手の育成。そして、地元出身の選手の育成というところです。

それが本格的に感じられるようになってきたのは、風間さんの下でトップチームのコーチを務めていた今野さんがU-18 の監督に就任された2013年からでしょうか。
翌年は同じくトップでコーチを務めていた寺田周平さんが、U-15の監督に就任して、トップのサッカーのアカデミーへの浸透、そしてそこから育った選手のトップへの引き上げ、という流れを作っているなぁ、と強く感じているこの3年です。

 

こう書いていると、風間さんが来てからだよね、と感じられる方も多いかもしれません。それは確かに正しくはあります。
ですが、それよりももっと前からクラブはアカデミーに関しては取り組みを開始しており、その証拠として、小学生年代の全国大会であるダノンカップを2008年~2010年まで三連覇しており、その世代の主な選手は、以下の通り。

2008年:三好康児、板倉滉
2009年:三笘薫(筑波大)、岸晃司(専修大
2010年:田中碧、高宇洋(市船G大阪内定)

クラブがしっかりと下の年代から選手を育ててきているのがわかると思います。

また、これとは別にアカデミーから大学に進学した選手も大学で成長して、フロンターレに帰ってくる流れも作りつつあります。

一昨年は、その流れで可児選手(阪南大学→川崎→金沢)が帰ってきてくれましたし、今後もその流れは継続していくと思います。

 

脇坂泰斗 (川崎U-18 → 阪南大学3年)

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三笘薫 (川崎U-18→筑波大学1年)

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岸晃司(川崎U-18 → 専修大学1年)

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3. これからの10年
今後の10年は正直、不確定な要素が多い10年かもしれないと感じています。
2009年ごろまで大きな戦力となっていた良質のブラジル人選手というのは、中国、中東のクラブが経済的な力が大きくなったことで、そう簡単に獲得できなくなるかもしれません。

 

また、ダゾーンによる多額の放映権収入もいつまで続くかは不透明な部分もあります。Jリーグの多額の賞金が10年間続くかわかりません。

だからこそ、トップのサッカーに馴染んでいる選手を安定して供給できるアカデミーの存在は非常に重要です。
ここは、自分達次第で高めることができます。


また、ごく近いうちに「ホームグロウン制度の導入」も噂がされています。
これは、各クラブのトップチームの登録選手にユース出身や地元出身選手を入れることを義務付ける制度で、この制度に対応できる、という意味でもアカデミー、およびアカデミー出身選手の存在は重要だと思います。


4. むすび
私は、2009年のシーズンが終わったとき、ふと大きな不安に駆られました。「このチーム、サッカーのサイクルはここがピークで、この先はどうなるのか・・・」と。
そこから、紆余曲折はありましたが、クラブはなんとか次の方向性を見出し、それを継続していく取り組みをしているように私は感じています。
(特にこの5年は強く感じます)

アカデミー出身の選手は多くの選手が、10代前半でフロンターレのアカデミーに入り、そこから18歳までを過ごしています。だから、クラブ愛、フロンターレ愛というのはある程度、自然と育まれていると思います。

しかし、もっと注目、見守ってあげる、応援してあげることで、彼らのクラブ愛は高めることができると思いますし、ひいてはそれが彼らの成長にもつながると思います。
昨日、ツイッターでアンケートを行ってみたところ、私のフォロワーさんの場合、6割近い人がアカデミーの試合は見たことがない、とのこと。

確かに等々力以外でやるときは、なかなか足を伸ばしにくい会場であることが多いです。かくいう私も近場しか行けてないので、あまり大きなことは言えません。
でも、この記事を読んだ方の1人でも多くの方が来シーズンは、アカデミーの試合会場に足を運んでくれること願ってやみません。

(もし、なかなかアカデミーまでは・・・という方は、気にかけていただけるだけでも十分です。あ、今日は試合勝ったんだ、誰が得点したんだ、とかそんなことからで構いません!)

そうは言っても、アカデミーはクラブから上がる情報が少なくて・・・、という方に、「川崎そだち」というサイトをご紹介して最後の締めにさせてください。

「川崎そだち」は、参加者が手弁当で運営しているサイトで、主にアカデミーの試合、選手を取り上げた記事を掲載しています。
(その他、フロンターレを退団して、他クラブへ移籍した選手の記事も時折掲載しています。)
記事を書かれている方々は非常にアカデミーを熱心に見守られていて、愛情たっぷりの記事が掲載されています。

アカデミーのことはよくわからない、という方は、是非、一度、ご覧になっていただければ、と思います。

川崎そだち
サイト : https://kawasakisodachi.net/
Twitter : @kwsksodachi
FaceBook : https://www.facebook.com/kawasakisodachi/

 

長くなりましたが、本記事は以上です。本日の川崎U-18 は、見事勝利を収めたものの、プリンスリーグプレミア参入決定戦への出場はかないませんでした。

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しかし、プリンスリーグへの参入の際も、何度も阻まれて、その思いを引き継いだ後輩が、4回目でその夢をかなえました。
きっと来年こそは、現2年生、1年生、新1年生が思いを引き継いでやってくれると信じています。

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明日は、あんざいさん(@kanzmrsw)により、「川崎そだちネタ」です!お楽しみに!